京都地方裁判所 昭和43年(ワ)381号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕一、本件各証人の証言および、口頭弁論の全趣旨を総合すると、次の事実を認定することができる。
<中略>
ところで、機械製作業界では、いまだ商品化されていない発明品など新規な機械の設計製作請負契約においては、本来機械の完成については確実性が乏しいのであるから、注文主は、完成したときはその使用、または、販売により当然利得し得る反面において、完成不能に終つたときはその損失を自ら負担することを予め覚悟しているのが通常であるとし、請負主に特に不信義な行為がなく、また、特約がないかぎり、完成不能のばあいには請負主に対し支出費用の償還など契約上の責任を問うことができないとする慣行があり、前記川渕や原被告もこのことを承知していた。
二、<省略>
三、また、前記認定事実によれば、原被告間の設計製作契約は一種の請負契約であるということができるけれども、その契約に関し被告に特に不信義な行為があつたこと、および前記業界の慣行に反する特約のあつたことを認め得る証拠はないから、右契約において当事者は右慣行、すなわち、商慣習に従う意思であつたと解するのが相当であり、従つて、被告は本件設計製作の不完成につき債務不履行の責任を負わないと解すべきであるから、契約解除に基き既払金の返還を求める原告の主張も亦、その他の点を考察するまでもなく、理由がないといわなければならない。(東民夫)